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*我々の研究室で研究を希望される方へのメッセージ (2009.1)     by 引原隆士 [#rd931a31]


>大学院から我々の研究室で研究に加わりたいという, 他大学,他研究科の方は,メイル等で[[連絡>連絡先]]を取って下さい.留学生の方も同様です.見学も随時受け入れています.高校生の方で研究室を見学したい方は,先生を通じてご連絡下さい.

** はじめに [#r8aa5094]

 ホームページで意見を述べることの危険性,およびその反応がどんなものであるかを充分知った上で,このページを書いています.反応が自らに返る場合はそれを普く受け入れるつもりです.

-2005年版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/hikihara/lab-exp-05-01.html]]
-2006年版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/hikihara/lab-exp-06-01.html]]
-2007年当初版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/ja/index.php?Research2007]]
-2007年第2版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/ja/index.php?Research2007-2]]
-2007年第3版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/ja/index.php?Research2007-3]]
-2008年版は[[こちら:http://www-lab23.kuee.kyoto-u.ac.jp/ja/index.php?Research2008]]

2009年度は以下の点について少しずつ書き込んで行きます.

**1.研究室を選ぶこととその意味 [#j6b6da40]

 3回生もしくはM1が配属されたい講座・分野(研究室)を選択することの意味は,自らのメジャーとなる一つの専門分野を選択する事であることは言うまでもありません.しかしながら,工学の基礎としての全学共通科目,電気電子工学の専門科目を修得して来た学生の皆さんには,その一部をメジャーとする生き方が果たして正しいのでしょうか?そんな狭い世界を若い時点で選択してしまうことが本当の意味だとしたらそんなに悲しい事はありません.どの教員も言う様に,所詮その研究分野は入り口にすぎないということを理解してもらいたいと思います.

 自らが学ぶ事を忘れてしまったらその人はどこにいても同じですが,研究の入り口において,おそらく誰もが研究の課題を与えられます.それが自分の好きな科目に近い所で選んだとして,課題の背景,意義,価値,目的を自分で肉付け出来るかどうかです.そして,その課題を通じて研究のアプローチを学習したあとで,本当の研究が始まります.それは「何が問題なのか?」.これまで受験勉強,試験の勉強を続けて来た学生にとって,いちばん難しい問い:それは与えた課題において何が問題なのかを自ら導きだせるか が問われます.それは単にそう思うとか考えるといった感想ですまされるものではありません.論理的にあらゆる可能性を思考実験,数値計算,実験でつぶして,そして教員が与えた課題に対して,一体いま何が問題なのかを自ら導出できるようになること それが最も重要な問いかけだと思います.その問いかけがどの分野でなされるのであれば,これまでの勉強して来た知識から対応できて訓練に入れるか という側面から研究室を選ぶことが大切なのではないでしょうか? 皆さんが卒業し,大学院を修了し,研究者として一人前になった時,その研究室で学習して来たテーマは過去のものとなります.テーマの人気で選ぶのではなく,どの領域で訓練を受けるのが自らの方向性に合致しているかを考えて選んでもらいたいと思います.

 研究室で受ける訓練には自ずから方向性があります.4回生で受けた訓練は一生ベースとする拠り所となります.逆に大学院で研究室を変わると,その訓練が必要となります.異なる価値観の訓練を受けた人を一人前にするには一度イレーズして再度書き込むというような作業が不可欠となります.これは知識ではなく,体験として残るからです.それほど本質的な訓練であるという事を今一度考えて研究室の選択をされるべきであろうと思います.

**2.研究室でまず求められること [#w3b1e8bf]

 研究室見学に来られるたびに,「休みはどれだけありますか?」,「大学院の入試の勉強はできますか?」,「テーマは先輩と同じですか?」,「実験は忙しいですか?」・・・上げれば切りが有りませんが,聞かれる方もいい加減嫌になります.だから最初からすべてをありのままに伝える様に先輩の学生さんにはお願いしています.それは個人次第です.ネガティブキャンペーンを張って人気がないという事はその学年はそういう人の集団だと私は判断します.それで良いと思っています.自分に足りないものがあれば時間も惜しんで補充するほが学生として当然であり,余裕があれば人にも教え,さらに新しい事を試み,いつも全力で走るべきだと思います.だから,これらの質問は価値観が合いません.

 研究室は,一つの価値観で教員と学生が同じ方向のテーマに対する研究の訓練をする場です.学生の方を労力と考えて実験をさせるところではありません.その研究室の中で研究テーマに関して,教員と学生が共同研究者となりうるまでには,ある一定以上の経験と訓練が不可欠なのです.その場を提供しているにすぎません.教員も先輩も誰もが各自独立の研究テーマを走らせています.それを研究室という括りの中で議論し,世に問えるかどうかを磨いて行く場としています.その中で不充分であれば,他の研究室,他の大学,海外の研究者という外の世界でのポリッシュアップを図ります.それらを経た後,論文誌,学会での公表に値するかを決定していくプロセスを遂行する場となります.従いまして,教員も学生もそれぞれのテーマを尊重しながら,真摯にその内容を議論する場でなければなりません.何か美味しいものが無いかとか,結果をごまかしておけば良いとか,何か良いところだけを取れるものはないかといった,自分の事だけを考えた行動をする人がいれば,その時点で成立しない世界です.

 すなわち,研究室という括りの中では,教員も学生もそのテーマが成立する原典の精査から,結果の完成までをさらけ出す事ができなければ,お互いに向上できないのです.それぞれが守りに入り,学生からの意見を先生が聞かない,またそれに考え方を示さずに隠す,あるいはどちら化がどちらかを人足の様に使うといった場では望めないものです.

 研究室でなされることが何か分かったとき,皆さんが取るべき方法は,その研究室の教員,先輩と価値観を共有できるかどうかです.配属された後は,そのための学習が最も大切となります.少なくとも皆さんに教員や先輩が合わせる事は絶対にありません.

**3.研究室で学んでほしいこと [#m8264415]

 どの研究室もそうですが,京都大学の研究室である以上,夫々の分野で重要なテーマに挑み,他に新たな分野を切り開く仕事をいます.経済状況,政治,そして様々な動向で世の中がもてはやすテーマは変わります.そんなはやり廃りに関係なく,新しい分野を切り開く研究を推進することは並大抵ではありません.上に述べた様に,学部の専門科目の狭い範囲の学習ではそれらの分野の推進には何の役にも立ちません.電気電子工学の全ての分野の知識に加えて,物理,数学,そして化学,生物学等の知識を必要に応じて運用できる総合能力が必要なのです.そういうことを訓練の中で知っていった時,さらに電気電子工学の専門だけでは足りないことに気がついていきます.それは,電気電子工学が工学の全ての分野の基盤になり,さらにそれらを吸収して拡大しているからです.逆に他の分野も電気電子工学の知識無くして何も出来ない程になっています.そんな中で,電気電子工学の学生がもつ理解の重要なことは,電気電子工学としての電磁界理論,回路理論,量子力学,システム,エネルギー的な理解です.物理からエネルギーまでの全てをその対象に応じて使い分け運用できると同時に,無次元化及びスケール則に基づく洞察によって,統括的に事象を理解できるようになることです.そういう能力が電気電子工学の学生として求められるものであり,狭い分野の専門性は,多くの学生の就職に当たっては訓練の一課程としてしか見られていません.すなわち,訓練の分野ではないということを今一度述べておきます.残念ながら,多くの大学院生においてもそれが理解されていません.一方で,多くの教員においても総合的な力が重要とおもいつつも,即戦力を重視し,個別の知識に偏った人を輩出してしまっていることも事実です.その中で,学生はバランスを取って自らの能力を高めて行くための総合力を,基礎から高めてほしいというのが私の考えです.

 総合力には全てにおける基礎力が必要です.学部の専門科目で学習した事は,電気電子工学としての基礎です.それらの基礎の上にこれから研究に向けたさらに必要な知識と能力を築いて行かねばなりません.先輩との輪講,教員との輪講,そして研究室間での勉強会などを通じて,あらゆる情報を習得してもらいたいと思っています.そのためのモチベーションの一つが,「研究テーマ」です.

**4.学習することと研究することの違いは? [#t32ebe43]
**5.研究者とは? [#x759c62d]


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